滝つぼ事故からの学べる事
初めに断っておくが先日関西で起きたトレラン中死亡事故を非難する考えは毛頭無いのでご了承願いたい。
事故そのものを非難しても意味が無く、周りで起きた事故から学んでどう自分の山行へフィードバックさせれるか?
これが山でも普段の生活においてもとても重要。
事故当初、連れの女性が足を洗う為に沢に入ったら滝つぼに引き込まれたなど色々と情報が錯綜していた。
事故現場は『太古滝』
入り口はゴルジュになっていて、泥汚れを落とす為に沢に脚を入れたからって突然引き込まれる感じでは無く、何か理由があって滝つぼに自ら近づいて行かなければ、引き込まれないと思う。
例えば、ガイドに滝をバックに写真を撮ってもらう為に後ろ向きで数歩下がったら急激に深くなってて深みに脚を取られたとか。
他の写真などでよく観察してみると、奥側の泡の白い部分が消えかかってる部分から急激に水深が深くなっていて滝つぼから離れていると思いがち。
そしてここは数年前からトレランの方々で流行っている『ドボン』スポットらしい。
『ドボン』とは!?
主にトレラン下山後に火照った体を登山口周辺に流れる沢、川に飛び込んだりして体を冷やす行為。
また低山など真夏時、暑すぎて途中で沢なんかで体を冷やしたりする方も。
特に去年、一昨年と猛暑だったのでドボン動画がトレランキラキラ系の方々を中心にSNSでやたらとアップされてた。
ここ太鼓滝も両側登って滝つぼに飛び込む動画なんかが色々とネットに転がっていた。
東京でも初心者を連れての講習会やらツアーでもここはあまり知られてない奥多摩のドボンスポットだとか紹介していた方々も...
増水したらこうなる事も理解しておこう。 pic.twitter.com/INVCTJBO2S
— イットン (@kitrailchannel) 2020年7月28日
増水時はこうなる可能性があるらしい...
いっとんさんのブログ内でも書いてあるけど、パニックにならないっていうのは本当に重要。
川底を掴んで移動って考えた事なかった。
そーいえば確かにダイビングだとサンゴを掴みながら移動する事は多々あった。
何か起きた時、一度深呼吸でもして落ち着いて思考を整理する。
もし川で自分が溺れそうになったら一度浮くのを諦めて、川底に足がつくまであえて沈むのも一つの選択肢。
両脚で川底からジャンプできれば相当深い淵とかじゃなければ水面に届く。
子供の頃初めて入る深い淵なのでどの位水深があるか、時々わざと沈んで川底を確認していた。
今は本当にこうやって色々な角度から考察されてる情報が集められるようになって個人的には勉強になる。
川のリスクについて理解をするということ〜トレイルランナーも知っておきたい最低限の知識 | Running Amongst Trees https://t.co/ERe4P0zqhG
— 高広伯彦 : マーケティングと事業開発のアドバイザー業/ #B2BDGMKTG 主宰 (@mediologic) 2020年7月28日
個人的に思うのが、こういう事故が起きる度に、ロープを持参してれば救えたとか、ライフジャケットを持ってなかったとか言われたりするが、それは全く違うかなと。
道具ありきりで考えていたら山に入る際ありとあらゆる想定の荷物を持てばいいのか?
って事になる。
道具を揃えるのは簡単でネットで片っ端からポチればいいしヨドバシドットコムなんて石井スポーツを傘下に入れたから送料無料でなんでも揃うよ〜
道具を使いこなすのはそれなりの経験が必要だしね。
あればいいってもんじゃない。
で言われるのが、ツアーやるならあらゆるレスキューの資格を取れって...
まぁ正直ないよりは講習中様々な遭難ケースを学べるので。
ただレスキューを仕事にしてない限りライセンス持ってるだけじゃ他人を安全にレスキューにできるとは思えない…
そもそも全然そんな難しい事じゃ無くてどこまで想像できるか?してるか?
車の運転でも言われてる
『危険予測』
をできるか?できているか?やるか?やらないか?
これがとても超重要。
不測の事態がなるべく無いように想定することが大事。
この事故で『ドボン』を個人グループ、講習会やツアーでしていたほとんどの方がまさか滝つぼで溺れて死亡事故が起こるなんて想像してなかったと思う。
*『ドボン』が原因で事故が起きたわけではない。
想像してなかった事が起きればパニックになり最悪事態が悪化する。
靴履いて泳いだ事ある?
服着て泳いだ事ある?
例え目の前で誰かが溺れたとしてもほとんどの人は他人を助けるける事はできない。
水着とは大違いで、シューズ履いたまま、服着たまま泳ぐのって重りつけてるみたいになっちゃうから結構大変で自分自身の浮力作るのも素足の時と全然ちがってその状態で他人なんか助けられない。
長雨で増水している沢、轟音をたてている滝、近づいたら『やばいな』って思わない?
なんか危険じゃないかなって感じない?
危険予測ってそのセンサー的な感度とか想像力。
危険を想像してこうやったらこうなりそうだなって予測する。
滝の写真撮りたいけど、深そうだしあんまり近付いたら危なそうって。
それだけ。
だけど普段から意識してないとなかなかそのセンサーの感度は良くならない。
街中でランニングしていても、交差点ギリギリに立つランナー、ノールックで飛び出したり、減速しないで見通し悪い曲がり角突っ込んだりと危険を何も考えない、危険だと思わないで走っていると何年トレーニングしていても危険予測なんて身につかないし考えがうまれない…
普段の山でも同じ。
長雨が続いていて、沢の水が多いなとか、滝の水量が多いなとか、普段より轟音だなとか、ちょっとした変化に気づく事が大事。
普段から新しい小石や土砂が転がってるならそのエリアは崩れやすいとか、獣の匂いや糞、フィールドマークなど、山に入ったら情報収集する必要がある。
長雨や短時間での豪雨時はトレールわきから流れている水が透明ならまだリスク低いが濁っていて葉、小枝、土、砂利など色々な物がが流れ始めたら、出ていたら土砂崩れのリスクは高くなっているので注意が必要だし、ガスの中稜線でピリピリしたり、チッチッチとか音がしたら雷サインだし
と話はそれてしまったが山はいかにリスクヘッジするかがとても大切でなるべく事故らない、死なないように行動する事を頭に入れておく必要がある。
個人的に川、沢への『ドボン』はおすすめしない。
安全、清潔、温泉ドボンが最高だよ。
ぼっちランナーなので妬みっぽく思われるかもしれないが、まず川に入るとシューズとか臭くなる、泥は落とせるがその後の臭いが...
服も同じ。まぁ沢、川なんて雑菌だらけですから...
時々ハセツネコースなんかで途中下山した際、バス待ちなんかで脚を冷やしたりもするがシューズは脱ぐし、ただでさえ臭い!?ので、なるべくシューズを濡らして更に臭く!?なりたくというのもある。
また都内から行く時はほぼ電車だし、びしょ濡れで乗るなんてダメでしょ...
まぁ、小さい頃から青梅周辺で多摩川、支流の沢とあらゆるところで飛び込んだり泳いでたりしていたし、若い子の遊びって感覚があり今更おっさんがってのもあるが...
ともあれ山での遭難はいつも明日は我が身という思い。
三浦さんとは面識はないが防げた事故でありとても残念…
ご冥福をお祈り申し上げます。